07.10.08:25
[PR]
08.03.09:36
怪談好きさんに捧げる百のお題 あと九十二本... 「たすけて」
あと九十二本 「たすけて」
ちりりりりりん
真夜中に響く、電話の音。どこからかかってくるのかは分かってる。もう一週間も、私はこの電話に苦しめられている。
一週間前の午前二時。急になったけたたましい電話の音で私は目を覚ました。こんな時間に誰が電話してきたんだろうと思い、眠いながらも起き上がって電話を取った。
がちゃ
「もしもし?」
電話に出た私の声は、少しだけ不機嫌さを持っていただろう。こんな時間に電話をかけられれば当然だろうが。
・・・・・・
何も聞こえてこない。
「もしもし?」
たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたす
「ひっ!」
突然、女の声が大音量で『たすけて』を繰り返した。私は驚いて、思わず受話器を手放した。螺旋状のコードが伸びて、床にごとんと落ちる。耳から受話器を放しても聞こえるその声に、私は怯えた。
やっとのことで受話器を置くと、声は止んだ。
それから、一睡も出来なかった。
これが一週間も続いている。一昨日は『誰なのよ!』と勇気を出して電話に向かって叫んだが、『たすけて』が止む様子はなかった。受話器を置くことで終わるのだ。昨日は受話器を取ると、声が聞こえるか聞こえないかのうちに受話器を置いた。今日もそうするつもりだ。
私は受話器を取った。すぐにガチャンと受話器を戻そうとすると、何か違う声が聞こえた。よせばいいのに、私は受話器を耳に当てた。
「た・・・のに」
「え?」
「たすけてって、いったのに」
いつもの声が、そう言った。
突然、後ろから肩を掴まれた。掴まれている筈なのに、その手から感じる筈の体温は全くなかった。
「たすけてって、いったのに」
今度はその声が、背後から聞こえてきた。
振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない
「あなたがたすけてくれなかったから、わたし、こんなになってしまったの」
振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない
「どうしてたすけてくれなかったの」
振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない
「わたし、ずっとたのんでたのに。いっしょうけんめい、たのんでたのに」
振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない
「あなたも、わたしとおなじになってしまえ」
私は、『無理矢理』振り向かされた。
肩を掴んでいた手が、私の顔を後ろから掴んだ。ものすごい力で、後ろに捻ってくる。
「いや・・・っ、たすけて」
「わたしも、そういったんだよ」
声はそう言いながら、私の頭を捻ってゆく。
「たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけて」
「わたしのきもち、わかってくれた?」
声が、嬉しそうにそう言った。
そして、私の頭は一八〇度回転した。ごきり、という骨の折れるような、嫌な音がした。私の背後にいたのは、私と同じように首が一回転した女だった。
「ほら、でんわをもとうね」
女はそう言って、私の手に電話の受話器を握らせた。
「なんていうかは、わかってるよね」
女は、受話器を握った私の手を、顔の横へ寄せた。
「みんなに、おしえてあげようね」
女は出鱈目に番号を押した。どこかの電話に繋がった。『もしもし?』と訝っている男の声が聞こえた。時間は、午前三時。
「あなたはいま、どんなきもち?」
私はあの言葉を呟いた。
私の最期の言葉を。
たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけて
長い一週間が、再び始まった。
END
↓気に入ったらぽちっとどうぞ。

ちりりりりりん
真夜中に響く、電話の音。どこからかかってくるのかは分かってる。もう一週間も、私はこの電話に苦しめられている。
一週間前の午前二時。急になったけたたましい電話の音で私は目を覚ました。こんな時間に誰が電話してきたんだろうと思い、眠いながらも起き上がって電話を取った。
がちゃ
「もしもし?」
電話に出た私の声は、少しだけ不機嫌さを持っていただろう。こんな時間に電話をかけられれば当然だろうが。
・・・・・・
何も聞こえてこない。
「もしもし?」
たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたす
「ひっ!」
突然、女の声が大音量で『たすけて』を繰り返した。私は驚いて、思わず受話器を手放した。螺旋状のコードが伸びて、床にごとんと落ちる。耳から受話器を放しても聞こえるその声に、私は怯えた。
やっとのことで受話器を置くと、声は止んだ。
それから、一睡も出来なかった。
これが一週間も続いている。一昨日は『誰なのよ!』と勇気を出して電話に向かって叫んだが、『たすけて』が止む様子はなかった。受話器を置くことで終わるのだ。昨日は受話器を取ると、声が聞こえるか聞こえないかのうちに受話器を置いた。今日もそうするつもりだ。
私は受話器を取った。すぐにガチャンと受話器を戻そうとすると、何か違う声が聞こえた。よせばいいのに、私は受話器を耳に当てた。
「た・・・のに」
「え?」
「たすけてって、いったのに」
いつもの声が、そう言った。
突然、後ろから肩を掴まれた。掴まれている筈なのに、その手から感じる筈の体温は全くなかった。
「たすけてって、いったのに」
今度はその声が、背後から聞こえてきた。
振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない
「あなたがたすけてくれなかったから、わたし、こんなになってしまったの」
振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない
「どうしてたすけてくれなかったの」
振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない
「わたし、ずっとたのんでたのに。いっしょうけんめい、たのんでたのに」
振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない振り向いちゃいけない
「あなたも、わたしとおなじになってしまえ」
私は、『無理矢理』振り向かされた。
肩を掴んでいた手が、私の顔を後ろから掴んだ。ものすごい力で、後ろに捻ってくる。
「いや・・・っ、たすけて」
「わたしも、そういったんだよ」
声はそう言いながら、私の頭を捻ってゆく。
「たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけて」
「わたしのきもち、わかってくれた?」
声が、嬉しそうにそう言った。
そして、私の頭は一八〇度回転した。ごきり、という骨の折れるような、嫌な音がした。私の背後にいたのは、私と同じように首が一回転した女だった。
「ほら、でんわをもとうね」
女はそう言って、私の手に電話の受話器を握らせた。
「なんていうかは、わかってるよね」
女は、受話器を握った私の手を、顔の横へ寄せた。
「みんなに、おしえてあげようね」
女は出鱈目に番号を押した。どこかの電話に繋がった。『もしもし?』と訝っている男の声が聞こえた。時間は、午前三時。
「あなたはいま、どんなきもち?」
私はあの言葉を呟いた。
私の最期の言葉を。
たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけて
長い一週間が、再び始まった。
END
↓気に入ったらぽちっとどうぞ。
PR
こんばんはー。お久しぶりです。
かなーり前にお邪魔致しました、sora_kagami改め空下夏葉です。
相変わらず、ホラー小説書くの上手ですね~。
主人公が、幽霊(?)の女と同じ道を辿ってしまうっていうのは、やっぱり怖いです。
読んでて、これがドラマとかでも面白いかなぁ、って勝手に思いました(何)
また怖い話や不思議な話、待ってます!!
- トラックバックURLはこちら