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  <title>ジユウノオト</title>
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  <description>CRWが書いた小説なんかがメイン。

ジャンルは主にホラー系、青春系。
怖くて、そして共感できるような小説を目指して奮闘中。</description>
  <lastBuildDate>Thu, 27 Aug 2009 14:38:44 GMT</lastBuildDate>
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    <title>L　04</title>
    <description>
    <![CDATA[「あれでさ、ローのやつ、処分されたんだ」<br />
「処分って……」<br />
　光の子供たちの処分は厄介だ。妙に生命力が強く、腕が千切れたとしてもすぐに生えてくるし、火傷などものの数秒で治る。全身を切り刻むぐらいのことをすれば分からないが、まだ試したことはない。しかし、戦場で油断し、手榴弾の餌食になったファイは、組織を再構成するのに二ヶ月ぐらいかかっていた。<br />
「お前も知ってるだろ。俺達は怪我をしにくい。まあ兵器がそんなにいつもけがばっかりしてちゃ話にならないけどな。俺達の体はかなり丈夫だ」<br />
　或る日、ゼータは特別許可をもらって軍の研究所の中を歩き回っていた。普段あんな部屋に閉じ込めているのに、機嫌を損ねられてはかなわないと言わんばかりに、研究者たちは簡単に光の子供たちのわがままを聞く。尤も、もうわがままらしいわがままを言うのはゼータくらいのものだ。<br />
　研究所の中をうろうろしていたら、『立ち入り禁止』という文字のあるドアを見つけた。なに、自分は光の子供たちの中で一番力が強い。自分にひどい罰を与えるようなことはしないだろうと高をくくり、ゼータはその中にこっそりと入った。<br />
　幸い誰もいなかった。研究者は。<br />
　暗い部屋の中には、椅子に縛り付けられ、頭に奇怪な機械を取りつけられたローがいた。明らかに正気を失っていた。金色に光る眼を白目にして、開きっぱなしの口からはだらりと舌がこぼれおち、ついでに涎もだらだらと流れて、白い服に大きなしみを作っている。<br />
「ろ、ロー、お前……」<br />
　ローはゼータの声が聞こえないようだった。<br />
　その時、足音が聞こえた。見つかったらまずいとは思い、その部屋の中にあったごちゃごちゃと機械の置いてある辺りに潜んだ。ちょうどゼータが入れるくらいの空間があり、ちょっと見ただけではそこに人がいるなどとは思わない。光っている自分の身体をなんとかうまく隠し、様子をうかがった。<br />
「ロー」<br />
　部屋に入ってきたのは、自分たちを作り出した本人、オメガだった。ぼさぼさの灰色の髪の毛をしているが、ロマンスグレーとは言い難い。分厚い黒ぶち眼鏡をかけ、妙に生気のない顔をしている。上下の黒服の上に汚れが付いた白衣を着ているその男は、左手に青い濁った液体の入った注射器を持っていた。それがなんなのか、ゼータは知らない。しかし、それを打たれたローは痙攣を始めた。その様子で、その液体が自分たちにとって良いものでないことが推測される。<br />
　びくびくと痙攣をしながら、口からは泡を吹いているロー。ひどく気分が悪くなる光景なのに、どうしてだかゼータは目を離せない。<br />
「お前は、もう、駄目だから」<br />
　オメガがそう呟いた。ローは一段と大きく痙攣し、そしてぐったりとなった。もう、生きている気配がしなかった。ローの体は光を放たず、それどころか皮膚、髪の毛、爪などが黒く変色し始めている。<br />
「残念だよ。光の子供たちの寿命がこんなに短いなんて」<br />
　寿命が短い？オメガは確かに今そう言ったのか？ゼータたちが兵器として改造されてから、1年が経っている。1年しか、自分たちの体は持たない？オメガのその言葉を聞いた時、ゼータは反射的にオメガの前に立った。<br />
「おや、ゼータ。こんなところで何をしているんだ。いけないな」<br />
　大して咎める様子もなくオメガは言う。<br />
「寿命って……なんだよ、父さん」<br />
　ゼータはオメガの言葉を無視して言った。<br />
「寿命って、なんなんだよ。父さん、俺達は1年経ったら死んじまうのかよ」<br />
「……そうかもしれないな」<br />
　隠すことなくオメガはそう言った。ゼータの顔から、血の気が引く。<br />
「まだ研究段階だから詳しいことは分からないけど、最近光の子供たちの調子が悪くなり始めている。お前はどうだ？ゼータ。なにか不具合なところはあるか？」<br />
「……俺は……ないけど……」<br />
「そうか、それならいいんだ。お前は他の子供たちよりも力が強いからな、頼りにしてるんだよ」<br />
　オメガは笑うが、どんなに好意的に解釈してもその笑顔は良いものに感じられない。<br />
「ローはもう駄目だ。情報処理の能力に支障をきたしている。先日の錯乱もそれによるものだ」<br />
「そんな…。俺達も…他の連中もそうなっちまうのかよ」<br />
「さて、まだわからないな。お前たちを酷使しすぎたことが原因かもしれないし、別の原因かもしれない」<br />
　酷使、という言葉に、自分たちが人間扱いされていないような印象を受けてゼータはむっとしたが、おとなしくしていた。<br />
「お前たちの体はそう簡単に消滅しないようにできているからな。この特殊な薬品で」<br />
と、オメガは注射器を取り出した。中の液体はすべてローの体に注入されたが、わずかな残りが内側に水滴として残っている。少ない量のくせに、かなり濃い青が相変わらず濁って存在している。<br />
「処理するしかないんだ。お前たちの体の細胞の全機能を停止させる薬品だ。注射するのが一番効果があるが、一定量を体に塗ったりかけたりするだけでも効果がある」<br />
　ゼータはここで、違和感を覚えた。なぜオメガは、自分にこんなことをぺらぺらとしゃべるのか？<br />
　まさか……自分もここで『処理』されるのか……？<br />
　ゼータの考えを読みとったかのように、オメガは喋る。<br />
「ああ、心配するな。別にお前を処理するからこんなに簡単に喋っているわけではないよ。万が一、と言う時の覚悟をしてもらうためだ。でも、このことを他の子供たちに喋ってはいけないよ。無駄な動揺を生むだけだ。もっとも、もう動揺するような自我も持ち合わせてはいないんだろうがね」<br />
　そう言ってにたり、と鈍く笑うと、オメガは部屋を出た。このような薄気味の悪い部屋に取り残されてはたまらないと、ゼータも少し遅れて部屋を出る。<br />
　部屋の中には、全身が真っ黒に変色したローの体だけが取り残された。<br />
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    </description>
    <category>単発もの</category>
    <link>http://anokumene.blog.shinobi.jp/%E5%8D%98%E7%99%BA%E3%82%82%E3%81%AE/l%E3%80%8004</link>
    <pubDate>Thu, 27 Aug 2009 14:38:44 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>L　03</title>
    <description>
    <![CDATA[「なあ、こんなこと、いつまで続くんだろうな」<br />
　ゼータはある夜、隣の檻にいるミューという少女に問うた。<br />
「『こんなこと』って？」<br />
「こないだも訊いただろ。いつまで戦争が続くんだってこと」<br />
　ミューは考えたこともなかった。ゼータとミューは、他の子供たちに比べると自我を保っている方だった。ゼータはいつか絶対に普通の暮らしに戻ってみせるという強い誓いを持っていたからだが、ミューは周りの世界に興味がないからだった。ゼータは攫われて、ここへやってきた。しかし、ミューは研究所につれてこられる際に、抵抗した両親を殺されたのだ。それからというものミューは特に従順ではないが、自分の意思を主張することもなかった。ゼータは一応軍に従ってはいたが、いつか必ず彼らを皆殺しにして家に帰ろうと思っていた。<br />
「そんなこと、分からないわ。偉い人たちに聞けばいいじゃない」<br />
　檻は立方体の箱状になっており、完全防音だった。しかし光の子供たちはお互いにテレパシーを使うことができた。テレパシーというより、彼らの精神世界で会話をする、というようなものだ。だから互いの声だけでなく表情やしぐさなども互いに通じることができる。最初のうちは、子供たちはそのテレパシーを使って遊んでいた。しかしすっかり自我がなくなってからは、テレパシーを使うこともなくなった。戦場で使うくらいのもので、このように日常的に使うことはない。<br />
「あいつらに聞いたって駄目だ。『俺達がもっと頑張れば、それだけ戦争が早く終わる』って言うだけだろ」<br />
「なら、それでいいじゃない。その返事に何の不満があるの？」<br />
　ミューは早くも会話に飽きているようだった。<br />
「だって、俺達、人殺しだぞ」<br />
　人殺し、という言葉も、もはやミューを揺さぶることはない。実際彼女の心の半分以上は無感動で覆われていた。<br />
「人殺しなのに、国民たちはあんなに俺達のことを自慢してる。おかしいと思わないか」<br />
「だって私たちは兵器じゃない」<br />
「でも、人間だ」<br />
　元は人間であった子供たちが実験により『光の子供たち』として生まれ変わったのだ。元が人間である以上今も人間であると、ゼータは信じている。<br />
「それに、戦争が終わったらどうなる？俺たちの居場所は？」<br />
「居場所？」<br />
「戦争で勝ったら、俺達は素晴らしい兵器だって言われるだろう。負けたら、役立たずだって言われる。その後は？俺達、国が平和になったらお払い箱だ」<br />
　平和な国に兵器はいらない。処分しなければならない。処分できるものならいい。出来ないものは？<br />
「だったら、戦争が終わらなければいい」<br />
　ミューは静かに言う。<br />
「私は戦争が終わったところで、帰る場所なんかないわ。万一普通の体に戻れたとしてもよ。それなら私、ずっと戦っていた方がいい」<br />
「人殺しでもか」<br />
「ええ」<br />
「お前…人殺しでもいいなんて、それじゃお前の両親を殺した奴と一緒じゃないか」<br />
　初めて、水面のように静かだったミューの心に揺らぎが生じた。<br />
「……」<br />
「だって、そうだろ。お前はお前の両親を殺した奴と同じ、人殺しだ」<br />
　ミューはうろたえた。両親を殺された時の感情が、久しぶりに戻ってくるような気がした。<br />
「そんなの、ゼータだって……」<br />
「そうだ。だから俺は、それが嫌だって言ってるんだ」<br />
　両親の断末魔よりも、飛び散った赤い血よりも、両親を殺した奴らの顔の方を鮮明に覚えている。笑顔だった。奴らは人殺しを楽しんでいた。そんな奴らと一緒だなんて、思ったこともなかった。<br />
「やだ……やだよ……」<br />
「だろ？だから、逃げ出すんだ」<br />
「逃げる？」<br />
　突拍子もないことを言われ、ミューはテレパシーでなく、声に出してそれを言った。<br />
「そうだ。ここから逃げるんだ」<br />
「逃げるって……どこへ？」<br />
「どこでもいいんだ。もう人殺しをしなくて済むところ。平和に暮らせる場所。ここじゃないどこか」<br />
「どうせ平和になるんだから、ここにいればいい」<br />
　ゼータは今まで言おうかと迷っていたことを、思い切って口にした。<br />
「あのさ……こないだイオタが死んだの、知ってるか」<br />
「……イオタが？」<br />
　イオタも、光の子供たちの一人だった。ミューはイオタと同じ村から連れてこられたから、昔の彼女をよく知っていた。明るく活発で、村中から好かれていた。ミューはイオタといつも一緒に遊んでいた。イオタの方が一つ年上だったので、遊んでもらっていた、という方が適切かもしれないが。<br />
「うそ。イオタが死んだ？だって、この間の戦いに行った時イオタがいなかったからって偉い人に訊いたら、具合が悪いから今日は休むって」<br />
　ミューは明らかに動揺していた。あまりにもつらそうだった。<br />
「本当だ。俺…見たんだ。あの研究員がいつも検査に来るだろ？その時、そいつが書類とかをバラバラ落としちゃったんだ。馬鹿だよな。俺たちみんな分からないって思ってるのかな。それに、書いてあったんだ。イオタの欄、備考のところに死亡って」<br />
「そんな……そんな……」<br />
「あとさ、何回か前の戦いで、ローがおかしくなったことあっただろ」<br />
「ええ。私も攻撃された」<br />
<br />
※※※<br />
<br />
　ローという少年がおかしくなった、というのは、3回前の戦いのことだった。<br />
　戦いの最中、突然近くにいたローが何かを叫んだ。何か、というほどのものでもなく、それはただの悲鳴だった。金属音のような音を立てて、彼はいつもより強い光を放っていた。そしていきなり、ミューに向けて光を放ったのだ。<br />
　間一髪ミューも光を放ち、ローの光を相殺した。しかしローはそれを皮切りに次々と敵味方関係なく光を放ち始めた。光の子供たちが何人か負傷し、敵の兵士たちは全滅した。それでもローは収まらず、結局何人がかりかで彼を押さえつけて戻ってきたのだ。<br />
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    <category>単発もの</category>
    <link>http://anokumene.blog.shinobi.jp/%E5%8D%98%E7%99%BA%E3%82%82%E3%81%AE/l%E3%80%8003</link>
    <pubDate>Sun, 23 Aug 2009 05:21:53 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>L　02</title>
    <description>
    <![CDATA[　今日は、特別なパレードだった。国民たちの目に、実際の光の子供たちが晒されるのだ。国民の一部の間では、「本当はこんな兵器は存在しないのではないか」という噂が囁かれていた。それを払拭する為のものだ。心の底ではかすかに疑っていた国民たちも、実物を見せられてかなり興奮していた。<br />
　一方の光の子供たちは、戸惑っていた。何に戸惑ったかと言うと、国民たちがこんなにも自分たちに対して歓迎的だったことだ。国民たちも、戦場での自分たちのことは聞いているはずだ。実際殺戮を行っている自分たちだって、こんな身に苛立ちが募る。それなのに、国民たちはそれを笑顔で歓迎する。光の子供たちはそれが、国民たちが殺戮を容認しているのだとしか思えなかった。<br />
人殺しをするこの存在が、認められている。<br />
　それは、兵器である彼らにまだ少し存在していた『罪悪感』を抜き去り、人としての心までもを拭い去ろうとしているようだった。<br />
<br />
※※※<br />
<br />
　だが実際、彼らは人としての扱いを受けていなかった。彼らの人としての心が皆無に等しかったために不満が起こらなかっただけで、通常の人間が彼らの扱いを見れば非人道的だと罵っただろう。<br />
　少年たちは一人ずつ、檻の中に閉じ込められていた。檻の中は快適で、そして頑丈だった。なにせ、機嫌を損ねて『光の力』を使われてはたまらない。何度もテストと洗脳を繰り返し、彼らは牙を抜かれた猛獣として扱われた。<br />
　洗脳は上手くいっていたし、檻も定期的にテストをして『光の力』で壊されない強度の物に代えていた。<br />
<br />
TO BE CONTINUED...<br />
<br />
<br />
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    </description>
    <category>単発もの</category>
    <link>http://anokumene.blog.shinobi.jp/%E5%8D%98%E7%99%BA%E3%82%82%E3%81%AE/l%E3%80%8002</link>
    <pubDate>Mon, 09 Mar 2009 14:43:26 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>L　01</title>
    <description>
    <![CDATA[　今夜も、町には火が降る。戦争中なのだから当然だけれども、人々はいつもそれが初めての事のように恐れていた。悲鳴。怒号。断末魔。毎日繰り返される地獄絵図。<br />
　その日は、いつもと何かが違っていた。町が焼け落ちて、人々は傷つき倒れているのは同じなのだけれど、何かが違う。今日のこの町には、沢山の立っている人々がいた。――子供だ。沢山の子供たちが、焼け落ちた町に立ち尽くしている。彼らの姿は、ひどく明るく見える。燻っている火に照らされていても、こうも明るくは見えない。彼らは光っているのだ。彼らの体はどういうわけか、発光している。月のようにどこか気品のある静かな光ではなく、蛍光灯に似た安っぽい光だ。<br />
「う…」<br />
　瓦礫の中から、一人の男が這い出た。どうやら焼夷弾の雨を掻い潜り、何とか生き延びていたらしい。がたり、と立てられてた音に、光を放つ子供たちは目を向けた。男のほうも、なぜかこの戦場となった焼け野原に立ち尽くしている沢山の子供に目を向けている。<br />
「お前たち……なんだ？」<br />
　子供たちは明らかにこの町の子供ではなかった。この国の人間ですらなかった。男とは違う髪の色、目の色、顔のつくり。それに…全身から放たれている蛍光灯のような光。男は寒気を感じた。<br />
「こいつ、まだ生きてるよ」<br />
　突然、一人の少年が喋った。男はぎくりとして、喋った少年のほうを見た。見事な金髪を適当な長さに伸ばしており、血のような目の色をした無表情の少年。尤も、金髪も血の色の目も無表情も、その少年だけではなくその場にいた光る子供たち全員であったが。<br />
「まだ生きてるね」<br />
「死んでなかったんだ」<br />
「どうする？」<br />
「どうする？」<br />
「どうする？」<br />
「どうする？」<br />
「どうする？」<br />
「どうする？」<br />
「どうする？」<br />
「どうする？」<br />
「どうする？」<br />
「決まってるだろ。殺すんだよ」<br />
　沢山の「どうする？」のあとで、さっき最初に喋った少年が言った。『殺す』という言葉に、男はまたもぎくりとした。<br />
「当たり前だろ。俺たちの姿を見たやつは消せって、父さんに言われてる」<br />
「そうよね。一人でも生きてて私たちのことを喋られたら、困るもんね」<br />
　少年の隣に立っていた少女が言った。<br />
「誰がやるの？」<br />
「誰がやるの？」<br />
「誰がやるの？」<br />
「誰がやるの？」<br />
「誰がやるの？」<br />
「誰がやるの？」<br />
「誰がやるの？」<br />
「誰がやるの？」<br />
「誰がやるの？」<br />
「俺がやる」<br />
　沢山の「誰がやるの？」のあとで、例の少年が言った。少年の放つ光が、ひときわ強くなる。<br />
「いつもやってることだ」<br />
　男は何もわからないまま、子供たちの会話を聞いている。<br />
「じゃあな、おっさん」<br />
　突然少年が、男の目の前にいた。男はわけがわからず、困惑顔だ。だが少年はそんなことを気に留めず、男の顔の真ん前に掌をかざした。<br />
　少年の光が目がつぶれるほど強くなり、そして次の瞬間、男の姿が消えた。正確に言うと、消えたわけではない。蒸発したのだ。その証拠に、男が座り込んでいた場所には黒い影が焼きついている。<br />
「いつもどおりだね」<br />
「いつもどおりだよ」<br />
　少年と少女は、互いに言い慣れた、聞き慣れた短い言葉を交わす。<br />
　周りの子供たちが、次々に消えていく。男のように蒸発したわけではなく、別の場所へ移動したのだ。最後に残った少年と少女は、残り火が仄かに照らす焼け野原に、いまだ立ち尽くしている。<br />
「帰らないの？」<br />
「……」<br />
　少年は答えない。<br />
「父さんに、怒られるよ」<br />
「……なあ」<br />
　少年は少女に尋ねた。<br />
「いつまでなんだろうな」<br />
「なにが？」<br />
「俺たちはいつまでこんなことをするんだろうな」<br />
　少女は考え込んでしまった。そんなこと、考えたこともなかった。戦争が始まって、自分たちは戦場へ送られて、ほかの国の町や人々を、消して消して消して消して消して消して、そんな日々が毎日続くものだと思っていた。それを、疑ったこともなかった。<br />
「どうしてそんなことを訊くの？」<br />
「別に」<br />
　少年はそう答えたが、本当に『別に』と思って訊いたわけはないだろう。<br />
「帰ろう。本当に父さんに怒られちゃう」<br />
「……ああ」<br />
　少年と少女は、強い光を放って、その場から去った。<br />
<br />
※※※<br />
<br />
　ルーチェ国では、戦争中にもかかわらず毎日パレードが続いていた。軍の上層部が、必勝の兵器を開発したため、勝利を確信し、それに浮かれているのだ。兵器は軽々しく人前に現れることはないが、写真などが公開されている。その意外さ、素晴らしさが、浮かれ具合に拍車をかける。<br />
「ホント、我が国の科学力は素晴らしいわ」<br />
「絶対、アンブラなんかに負けないね」<br />
　町の人々は笑顔で自国の勝利の確信を語り合う。<br />
　絶対、負けない兵器。<br />
　見た目は、ただの子供だ。十歳から十五歳までの少年少女たちの姿をしている。しかし、彼らは兵器だ。恐ろしい破壊力を、そのあどけない顔の裏に隠している。<br />
　彼らは、ルーチェ国が研究に研究を重ねた結果生まれた兵器たちだった。何人もの子供を人体実験の犠牲にし、その末に生まれたのだ。昼間の陽の下では分からないが、彼らの体は常に光り続けている。一体何の薬物あるいは操作がそのような結果を生み出したのかは解明されていない。しかし、その方が国民に対して神秘性を持っている。そのような理由から、彼らの体から放たれる光は消えることはなかった。それから彼らは『光の子供たち』と呼ばれるようになった。<br />
<br />
TO BE CONTINUED...<br />
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    </description>
    <category>単発もの</category>
    <link>http://anokumene.blog.shinobi.jp/%E5%8D%98%E7%99%BA%E3%82%82%E3%81%AE/l%E3%80%8001</link>
    <pubDate>Sun, 01 Feb 2009 11:26:44 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">anokumene.blog.shinobi.jp://entry/86</guid>
  </item>
    <item>
    <title>あとがき　眼球の夜</title>
    <description>
    <![CDATA[あとがき<br />
<br />
眼球の夜<br />
<br />
たまの『星を食べる』という曲から妄想を繰り広げて書いてみた。普通に猟奇殺人で「え、どうなのこれ」って感じ。でも、自分の中ではかなりいい方の出来だよこれは…。妙にグロくてどうも。Gさんの曲はこんなノリであと何曲か書ける気がしてきた。まずいぞそれは。<br />
<br />
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    </description>
    <category>あとがき</category>
    <link>http://anokumene.blog.shinobi.jp/%E3%81%82%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%8D/%E3%81%82%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%8D%E3%80%80%E7%9C%BC%E7%90%83%E3%81%AE%E5%A4%9C</link>
    <pubDate>Wed, 14 Jan 2009 14:57:52 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">anokumene.blog.shinobi.jp://entry/85</guid>
  </item>
    <item>
    <title>眼球の夜　後編</title>
    <description>
    <![CDATA[　あの後私は帰宅し、血で汚れた衣服を洗濯機に突っ込み、風呂にも入らずそのままベッドへ転がった。少し休んでから風呂に入ろうと思っていたのだが、目をつむり、次に目を開いた時は朝になっていた。<br />
　星を食べるのは次の日が仕事が休みの日にすることに決めているから、今日はゆったりとできる。しかし、昨日の興奮はなかなか忘れられない。最初の時よりは随分と落ち着いたが、それでも我慢できないほどに。<br />
　ただ転がって天井を見上げていると、むくむくと欲望が頭をもたげてくる。星を食べたしばらく後は、この欲求がなかなか収まらない。<br />
　私は、気分を落ち着けるために散歩へ出ることにした。<br />
<br />
　まどろんでは覚醒を繰り返していたのでまったく時間の感覚がなかったのだが、外へ出るともう空は瑠璃色に染まっていた。山の向こうのわずかなスペースだけが赤く染まって、太陽が沈むまいと抵抗しているように見えた。<br />
　今夜も、きっと美しい星空だろう。歩道橋を渡りながら空を見ると、まだ白い満月がこちらを見ている。<br />
　後から、こつこつと階段を上ってくる音が聞こえた。私はゆっくりと歩きながら、その人物が私を通り過ぎるのを待つ。それは男だった。セットされているのか寝癖のままなのかよく分からない肩まである髪の毛を茶色に染めていて、くちゃくちゃとガムを噛みながらヘッドホンで音楽を聴いている。その音楽が私の所にまで聴こえてくる上にやたら騒がしいもので、私は自分の顔が歪むのを感じた。しかし、こんな男の星ですらも、この世のどんな食べ物よりも美味いのだ。<br />
<br />
　あの女性の星を食べてから一ヵ月後、私はあの歩道橋で出会った男の星を食べていた。一ヶ月間男の行動を監視していた。と言っても、一日中男の後を付け回しているわけではない。星を食べるのは夜だ。夜の間の男の行動だけを把握できればよい。その結果、男は週に何度か、近くの公園に行くことが分かった。公園のベンチで、恋人（と思しき女）を待っているのだ。この女も、手入れも碌にしていないような金髪の、しかし顔立ちはどう見ても日本人であるとしか考えられない下品そうな人間だった。女と待ち合わせた後、男は女と一緒に、適当な茂みへと入っていく。時には、そのベンチにいるままで、行為に及ぶのだ。この公園は夜になるとそのような輩がたくさんやってくる場所で、正直私は逃げ出したくなったこともある。私の今までの人生の中で、私と恋人と言う関係を持った女性はこれまでに一人もいなかったし、誰かと肉体的な関係でさえ持ったことはなかった。しかし、私はそれでいいと思っていた。私のこの欲望を満たしてくれるものなど、この世にいないから。無限の星を持つ生き物など、この世にいないからだ。<br />
<br />
　星を食べると決めた日、私はその公園へ出かけた。もちろん、いつもの道具を持って。前回は家にバットを忘れてきてしまったため手近なもので昏倒させたが、今日のあの男はこの間のようにはいかないかもしれない。今日は珍しく誰も公園に来ていない。そういえば、なんだかひどく寒い気がする。天気予報では、今夜は雪が降ると言っていなかっただろうか。すると、男は来ないかもしれない。私は急に不安になっていたが、帰る気にはなれなかった。こうなれば、誰のものでもいいから私は星を食べたくなってきた。<br />
　暫く隠れていると、男がやってきたので安心した。男がいつも座るベンチの、その近くにある茂みに私は隠れている。女は確か、男がやってきてから五分か十分ぐらいしてから来るはずだ。その前に済ませなければ。<br />
　私は音を立てずに立ち上がると、ゆっくりと男の背後へ忍び寄った。周りに気をつけながらバットを振りかざし、男の後頭部に狙いを定めてバットを振り下ろした。<br />
　がつんっ、と音がして、バットは男の頭に命中した。しかし少し威力が足りなかったのか、男はまだ気絶するに至っていない。こちらを振り向きかけたので、再び頭を殴る。顔面を殴り、眼球を傷つけてしまっては意味がないため、後頭部だけを執拗に狙って殴った。<br />
　やがて男がうめき声をあげて動かなくなると、男を茂みに引き摺り込み、馬乗りになって首に手をかけた。この間の女性は細い首をしていたが、この男は浅黒い肌に、がっしりとした肉体を持っている。中途半端な力では、跳ねのけられてしまうだろう。私は思いっきり力を入れて、ギリギリと首を絞めた。男はうっすらと瞼を開き、私の顔を見る。抵抗する力がないのか、ただ苦しそうにしているだけだ。その眼球に、星が光っている。私の背中越しの星空が映り、なんと素晴らしいことか。<br />
　そして、男は呻き声さえも上げなくなった。私はナイフを取り出してから、男の顔にある星を切り取った。今回は膜を傷つけることなく取り出すことができて、私は大変満足した。<br />
　暫く見つめてから、口の中に含む。ああ、この感覚。耐えがたい快感に包まれる。思わず星に歯を立て、舌に絡ませ、歯に擦り付け、口全体で星を味わう。<br />
　その時、私はあることに気付いた。こんなにいくつもの星を見、そして食べてきた私の眼球こそが、最高の星なのではないだろうかと。<br />
　私はもう一つの星をじっくりと味わった後で、再びナイフを持った。<br />
　ナイフの切っ先を、左目に近づける。本能的な反射のせいか、左目は瞼を閉じようとする。左手で瞼を無理やりこじ開け、右手のナイフを近づけていく。<br />
　ナイフの先が、目のすぐ下に当たった。ちくりと痛んだが、これから味わう快感に私はその痛みさえも気にならなかった。<br />
　眼瞼と眼球の間にするりとナイフを入れる。結膜を突き破り、眼球が僅かに自由になったのが分かった。しかし、他人の眼球を取り出す時はそうでもなかったが、自分の眼球を取り出すならば、ナイフよりも指でじかに取りだしたほうが簡単なようだ。私はナイフを置き、左手の指を思い切って眼球の下側に突っ込んだ。潰さないようそっと、指を食いこませていく。ぎりぎりと歯を噛みしめなければならないほどの痛みだったが、これからのことを思えば何でもない。<br />
　ぶちりと視神経が切れる音がして、掌の中に眼球が転がり落ちた。初めて見る自分の眼球は、やはり夜空を美しく映し出していた。その星たちは今までに見たどの星よりも美しく思えた。<br />
　恐る恐るそれを口に含む。ああ、自分の星だ。自分の星を私は今食らっている。片方しか残っていない私の視界は、真っ白に染まった。痛みなど、どうでもいい。この味さえあれば、この舌触りさえあれば。私はもう何もいらない。<br />
　さっきと同じ要領で、残っている右目も取り出す。こちらの星を見ることが出来ないのが何より残念だが、口で味わうことはできる。やはりこちらも、素晴らしい味だった。これを食べるために、私は生きてきたのだ。この味と出会う為だけに、私は生まれてきたのだ。もう、何もいらなかった。この命すらも、いらなかった。私は咆哮をあげ、ばったりと倒れ込んだ。<br />
<br />
<br />
　気がつくと、私は何かふわふわしたものの上に寝ていた。何も見えないから、僅かに動かせる手で探ると、それがベッドだということに気付いた。しかし、明らかに私の部屋のベッドではない。ということは、ここは私の部屋ではない。<br />
「だ、だれ、か、います、か」<br />
　暫く喋っていなかったからなのか、かすれている喉を懸命に動かして喋る。誰かが、「気付いたんですね！？」と声を掛けてきた。<br />
「ここ、は、どこですか」<br />
「ここは病院です。あなたは公園に倒れていたんですよ」<br />
　その男の声によると、私は公園の出口のすぐ近くに倒れていたらしい。私が最後に見た周囲の光景はあのベンチの後の茂みだったので、私は這いずってか歩いてか、公園から出ようとしていたことになる。<br />
「あなたは、誰に襲われたんですか？」<br />
「おそわれた？」<br />
「その…眼球をくり抜かれて、倒れていたんです。誰にやられたんですか？」<br />
　最近妙な殺人気がこの近くで人を襲っており、私はその被害者だと思われているらしい。<br />
「もうあなたで十件目ですよ。でも、あなたが生きていてよかった、犯人もきっと捕まることでしょう」<br />
　この男は刑事らしく、私の証言から犯人を逮捕できると思っているようだ。私はなんだか笑いだしたくなった。<br />
「はんにんは、見て、いません。後ろから、殴られたんです」<br />
　私は、自分が犯人であるとは言わないことにした。言ったところで、人々はそれを信じるだろうか？他人の眼球を食らい、更には自分のそれまで食らった私を、人々は何というだろう。<br />
<br />
　刑事達は帰ったようだった。医者も私が目覚めた（目もないのにおかしな言い方だが）ことに安心したのか、今日はもう帰るらしい。<br />
　私は手すりにつかまりながら、そろそろとベッドから起きた。もう消灯時間はとっくにすぎており、病棟の誰もかれもが寝静まっている頃だろう。私は両手を広げながら周囲を確認し、ゆっくりと歩いた。スリッパは、足音がしてしまうので履かない方がいいだろう。<br />
　ぺたぺたと、ひんやりとする廊下を歩く。この病院は何度か来たことがあった。記憶を辿りながら歩くと、階段についた。転げ落ちないように慎重に上る。確かこの階のすぐ上が、屋上だった筈だ。<br />
　幸運なことに、屋上へつながる扉の鍵は閉まっていなかった。きっと閉め忘れだろう。<br />
　ドアノブを回し、ガチャリとドアを開いた。満天の星空が、見えた気がした。私は両手を前に突き出して、ゆっくりと歩く。暫く歩くと、手すりを触った。僅かに身を乗り出すと、星が私に近づいた気がした。その星を捕まえようとして、私は手すりを握っていた両手を空に突き出す。身体が前にのめり、私は手すりを乗り越えた。<br />
　全身がふわりと浮いた気がした。星空に、私は浮かんでいるのだ。星に包まれているのだというその感覚に、私は幸福感を覚えた。<br />
　ゆるゆると、落下していくのが分かる。なぜかひどく、ゆっくり落ちていくようだ。恐怖感はなかった。目が見えないせいだろう。<br />
　ああ、私は、幸せだった。こんなに幸せで、よいのだろうか。こんなに幸せなまま死ねて、よいのだろうか。<br />
　私は星空に向かい、笑みを向けた。<br />
　ごきりと自分の首の骨が折れる直前に、私は自分の目で、星を見た気がした。<br />
<br />
END<br />
<br />
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    <category>単発もの</category>
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    <pubDate>Wed, 07 Jan 2009 13:06:00 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">anokumene.blog.shinobi.jp://entry/84</guid>
  </item>
    <item>
    <title>眼球の夜　前編</title>
    <description>
    <![CDATA[　時々ナイフの刃で、人差し指を傷つけそうになる。指を切らないようにポケットの中のナイフを指で撫でながら、私はチャンスを窺っている。荒くなる息を抑えながら、空を見上げると流れ星が見えた気がした。<br />
　目の前にいる女性は、私に気付く様子もなくうっとりと星空を見上げている。彼女は私の見た、流れ星を見ただろうか。<br />
　あまりの興奮に、ちかちかと幻覚が見える気がする。何度かまばたきをしたら、真っ暗な夜の中に彼女が経っているのだけが見えた。<br />
　はあはあと、自分の呼吸が荒くなってくるのが分かった。もう、我慢が出来ないようだ。何度も調べた。彼女は毎週、この日のこの時間に散歩に出てくる。そして、この場所がお気に入りらしい。一時間近くもこの辺りを歩いたり、或いは立ったままで、星空を見上げている。私は彼女の目に映る、その星を見るのがたまらなく好きだった。好き、などという次元ではない。星の映った彼女の瞳を見るたびに、考えられないほどの興奮と快感と恍惚に襲われるのだ。<br />
<br />
　私は幼い頃から、星を見るのが好きだった。夜空に点々と浮かび、煌々と輝いている星を見るたびに憧れたものだ。いつかその星をこの手に取り、飽きるまで眺めていたいというのが私の夢だった。<br />
　だがその夢は、いつからか星を食べたいというものに変わっていった。星とは一体、どのような味がするのだろう。どのような舌触りなのだろう。どれくらいの固さなのだろう。どれくらい柔らかいのだろう。星を食べる時のことを、何度も想像した。<br />
　或る時、私は、星空を見る他人の目に、星が映っていることに気付いた。眼球に映る星は、夜空にあるそれと殆ど変わらない輝きを放っている。ああ、私がその考えに思い当り、どれほど興奮したことだろうか。私の星を食べたいという欲求は、星の映ったその眼球を食べたいという欲求にすり替わっていった。<br />
<br />
　大丈夫、彼女は私に気付いていない。しかし、そろそろ帰る時間かもしれない。行動を起こさなければ。<br />
<br />
　私は足音を立てないように、彼女に忍び寄る。息を殺しながら。<br />
　ぱきり、と、私の足は落ちていた木の枝を踏んでしまった。彼女ははっとこちらを振り向く。私は咄嗟にしゃがみこみ、足元にあった大きな石を掴んだ。すぐに立ち上がり、だっと走り始める。<br />
　彼女は何が起ころうとしているのか分からないというように、ぼうっとこちらを見ている。その彼女の頭めがけて、手に持っている石を振り上げた。<br />
ごつっ<br />
　彼女の頭に、石が当たった。彼女は目を見開いたまま、地面にばたりと倒れる。<br />
　私ははあはあと息も荒く、倒れた彼女を見降ろしている。彼女は起き上がる様子はないが、「うう…」と呻いていた。<br />
　さあ、早くやってしまわなければ。<br />
<br />
　彼女を仰向けにし、その上に馬乗りになる。月の光に反射されてか青白い首筋に両手をかけ、ぐっと力を入れる。ぎりぎりと首を絞めると、さらに苦しそうに喘いだ。<br />
「か…っ、ぁ、やめ……て……くるしぃ……」<br />
　かりかりと彼女の白い手が私の手を引っ掻きわずかな抵抗を示しているが、まったく力が入っていないため効果はない。<br />
　ぎりぎりと、ぎりぎりと、ぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりとぎりぎりと彼女の首を絞め続ける。<br />
　やがて、ごきりという手ごたえがあって、彼女が動かなくなった。ぱたりと彼女の白い手が地面に落ちた。<br />
　今度は、私のコートのポケットの中にあったナイフを取り出した。そのナイフを彼女の顔に近づける。これから、作業に移るのだ。<br />
　眼窩にナイフを差し込む。眼球を傷つけないように、そっとナイフを入れる。慎重な作業で視神経を探り当てると、それをぶちぶちと切断する。眼球はこの視神経によって脳とつながっているので、これを切ってしまえば眼球を取り出すのは容易い。右目は上手くいったが、左目は間違って強膜を傷つけてしまった。ナイフは強膜と脈絡膜、網膜を突き破り、硝子体がどろりと流れ出てしまった。ゼリー状のそれを指ですくい口に入れる。タンパク質の味が、生き物の味がした。やはり、これではいけない。私は右目をそっと取り出す。<br />
　しげしげと眺めると、夜空の星が映っている。今までに見たことある何よりも、その小さな星空は美しかった。何度も何度も回転させてから、やっと私はその眼球を口に含む。ころころと舌の上で転がせる。その舌触りは、眼球ではなく、星だった。ああ、私は今星を食べているのだ。その興奮で思わず、眼球に歯を立ててしまった。ぶちり、と膜を破った感触がして、中の硝子体が口の中に流れ出した。さっき舐めた硝子体と同じ物体とは思えないほどに、それは星の味がした。私は星を食らっている。今、私は星を食っているのだ。誰も食べたことがない、誰も食べることができない星を――食べているのだ。その事実は私を随分と興奮させた。私は涙を流し、地面に膝をつき、空を見上げ、両手を空に突き出した。この、満天の星を、私は今口の中に含んでいる。舌で味わっている。歯で噛んでいる。たまらない興奮、そして快感に、私は叫び声を上げた。<br />
　その横で、もともと眼球があった場所に血液のスープを溜めている『元』女性が、虚ろに星空を眺めていた。<br />
<br />
　私が最初に食べた星は、近所に住む嫌な男だった。一人暮らしで、その辺りの人間からはもれなく嫌われていた、もちろん私もその男が嫌いだった。何かと他人を馬鹿にし、他人にたかりながら生きているその男。そんな人間だから、私は、その男がいなくなっても、誰も沢がないだろうと思ったから。だから、その男の星を食べた。食ってやった食ってやった食ってやった食ってやった。あの嫌な男のものとは思えないほどに、その星は美味だった。あの時の興奮は、生涯味わうことが出来ないだろう、例えこれから、何度星を食べたとしても。<br />
<br />
TO BE CONTINUED...<br />
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    </description>
    <category>単発もの</category>
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    <pubDate>Sat, 27 Dec 2008 15:28:04 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">anokumene.blog.shinobi.jp://entry/83</guid>
  </item>
    <item>
    <title>夢小咄　27．文化祭の準備中に友達が死んだことを聞かされた話</title>
    <description>
    <![CDATA[27　文化祭の準備中に友達が死んだことを聞かされた話<br />
<br />
実際すごく長い夢だった気がするので、この順番で正しいのかどうか分からない。<br />
この夢に出てくる人物はどれも実際に私の知り合いだが、Tは現実よりも若干アツくていい奴になっている。<br />
<br />
<br />
私は学校にいた。この学校というのが、現在通っている大学と昔通った小学校を合わせたような校舎になっている。通っている生徒は主に小学生の時の友人たちだが、先生は大学の教授たちだった。<br />
<br />
私たちは文化祭の準備をしていた。会議室のようなところで女子が着替えている。文化祭の為の衣装を着ている人もいる。<br />
外は大雨で、明日の文化祭が本当にできるのかと心配している。<br />
<br />
体育館のようなところに行き、予め決められていた班に並ぶ。身長順に並んでいるようだ。色々な先生が係の指示を出し、その係になっている班が先生の指示に従って準備の為体育館を出ていく。<br />
<br />
私たちはS先生の指示に従い、学校を出て、少し離れた所にある家へ向かう。みんなが走って移動しているので私もそうしていたが、後から来た連中は自転車で移動しているので、私も急いで帰って自転車でみんなに追いついた。が、早く行き過ぎて、どこへ行くのか分からなくなった。T（男子）と一緒に、「どこ行くんかねえ」と言いながら来た道を戻っていたら、他の友達数人と合流した。<br />
先生がとある民家へ入って行ったので、私たちもそれについて入った。<br />
家の中は沖縄風の造りになっていて、女の人がお椀に絵を描いていた。まだ出来上がっていないお椀もいくつか重ねられている。<br />
<br />
学校へ帰り、準備を続ける。<br />
暫くすると誰かが、遠くへ引っ越した私の友達が雨のせいで事故に遭って死んだという情報を齎した。私はひどいショックを受けたが、Tも同様のようだった。二人してぼろぼろと泣いていた。<br />
<br />
何とか文化祭は出来るだろうということで私たちは帰ることになった。下駄箱まで行くと、S（男子）がいた。私は友達といたので、さっきのショックを隠すために冗談などを言っていたりした。すると、Sが「さっきはあんなに泣いとったくせにｗｗ」と言ってきたので、私は持っていた若草色の傘の先でSの首筋を強く突き、「てめぇ黙れや」と言って脅した。Sは怯えた風で、どこかに行ってしまった。<br />
<br />
さて帰ろうとして、私は自転車をどこかへ置き忘れたことに気付いた。民家の所にあるとは思うので、そこに寄って自転車に乗ってから帰ろうと思った。<br />
<br />
ここら辺で次の夢に続く。<br />
<br />
END<br />
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    </description>
    <category>夢小咄</category>
    <link>http://anokumene.blog.shinobi.jp/%E5%A4%A2%E5%B0%8F%E5%92%84/%E5%A4%A2%E5%B0%8F%E5%92%84%E3%80%8027%EF%BC%8E%E6%96%87%E5%8C%96%E7%A5%AD%E3%81%AE%E6%BA%96%E5%82%99%E4%B8%AD%E3%81%AB%E5%8F%8B%E9%81%94%E3%81%8C%E6%AD%BB%E3%82%93%E3%81%A0%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E8%81%9E%E3%81%8B%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E8%A9%B1</link>
    <pubDate>Fri, 19 Sep 2008 06:13:24 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">anokumene.blog.shinobi.jp://entry/82</guid>
  </item>
    <item>
    <title>夢小咄　26．クラス替えの話 </title>
    <description>
    <![CDATA[26　クラス替えの話<br />
<br />
あまりにもリアルすぎて、途中ですごく不安になった。特に『羨ましい』と感じてるあたりの感情が。<br />
<br />
<br />
私は高校3年生だった。新しいクラスの発表があった。前の学年は女子ばかりだった（ここらへんに大学の学科のクラスが反映されている感じ）が、新しい学年は男女混合である。<br />
<br />
新しい学年では、クラスは10組まである。私は4組だった。9組は、殆どが1年の時のクラスと同じメンバーだったので、羨ましいなあと思っている。<br />
<br />
私は教室に入った。先生は知らない人で、私たちは机を2列に並べて、それらを向い合せにくっつけてみんなで給食を食べ始めた。給食の途中で、私たちは体育の授業に出かけた。<br />
<br />
帰ってくると、私の席がない。食べかけの給食もない。先生に聞いてみると、私は間違えてこのクラスに入って、本当は違うクラスだと言われた。仲の良い友達が多かったのですごくショックを受けたが、仕方がないので荷物を持って教室を出た。廊下では、1年の時の友達が楽しそうにしていて、私はそれを羨ましそうに横目で見ながら歩いた。<br />
<br />
職員室に行き、知らない女の先生に学年の名簿を見せてもらう。4組の先生には本当は6組だと言われたので6組の所を見たが、私の名前はない。順に見ていくと、私の名前は10組の所にあった。10組の先生は1年の時の担任（現実とリンク）だった。10組の先生に事情を話し、私は10組になることになった。これから、「あの子10組なのに間違えて4組に入れられてたんだって」と噂されるんだろうなあと、気が滅入る。<br />
<br />
10組では、私は一番後ろの席になった。しかし、みんな私の方を振り向いては話しかけてくれるので、安心した。先生も何かと気にかけてくれるので、私はあまり不安を感じなくなっていった。<br />
<br />
ここらへんから覚えてない。<br />
<br />
END<br />
<br />
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    </description>
    <category>夢小咄</category>
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    <pubDate>Sun, 31 Aug 2008 15:04:44 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">anokumene.blog.shinobi.jp://entry/81</guid>
  </item>
    <item>
    <title>夢小咄　25．悟りを開いた話</title>
    <description>
    <![CDATA[25　悟りを開いた話<br />
<br />
同窓会があった次の日に見た夢。登場人物は確かに高校の時の友人たちだけど、何でこんな状況なのかが全く分からない。<br />
<br />
私は真っ白な所にいた。そこにはドアが一つある廊下のような場所である。<br />
そのドアの部屋に入ると、なんだかよく分からないが悟りのようなものが開ける。<br />
高校の友達がたくさんその部屋に入っていき、邪念を取り去ったような顔になって帰ってくる。一緒に行動していたグループの友達も、私以外の3、4人がそんなふうになっている。私もその部屋に入った。真黒い汽車のようなものが青空の下で走っていた。<br />
でも、私はあんまり悟りを開いたという実感がなかった。<br />
<br />
そのまま私たちは電車に乗った。<br />
はぐれそうになるのを私は何とか友達を見つけて一緒に行動する。電車を降りるとまたはぐれてしまうが、遠くに友達の顔が見える。<br />
<br />
ここらで目が覚めた。<br />
<br />
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    <category>夢小咄</category>
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    <pubDate>Sat, 23 Aug 2008 13:01:42 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">anokumene.blog.shinobi.jp://entry/80</guid>
  </item>

    </channel>
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